米崎小学校仮設住宅のお母様方と「道のカフェ」オープンの直前打ち合わせ Photo: © Kei Sato |
会場となった体育館の「道のカフェ」コーナーでは、オープンからクローズまでオーダーが入り続ける大盛況。「いらっしゃいませ〜」とお母さんが元気よくお客様をお迎えすると、オーダーを受けて今度は子どもがラテを作ります。プロジェクトスタッフがサポートしながら、次々とドリンクができあがっていきました。
最後は、もちろん、お母様方からの手渡しです。カップにはオーダーテイク時にお客様のお名前が書かれていて、ドリンクをお渡しするときに「○○さーん、アイスのヴィアラテでーす」とお母様方が一人一人に声かけしました。身内が来ると、グリーンエプロンを身につけた姿を見て話が弾んでいました。
今回の「道のカフェ」は、体育館で開催された写真展に合わせて開いたもので、会場には多くの方々が足を運ばれました。震災後から今日までに撮り貯められた写真の数々が展示され、地域のみなさんが欲しい写真を注文してその場で地元業者さんがプリントアウトしました。写真展は、自治会長の佐藤一男さんのもと、フォトジャーナリストの佐藤慧さん・安田菜津紀さんたちの協力で実現されたものです。
そこで、「道のカフェ」では、プリントアウトした写真をデコレーションできるフォトフレームコーナーを併設しました。台紙に写真を貼り付けて、シールやペンで写真を彩ります。スタッフが地域のみなさんとゆっくりとお話をしながら、思い出となる作品づくりをサポートさせていただきました。
気がつくと、会場となった米崎小学校仮設住宅の体育館では、コーヒーを飲む人、話に盛り上がる人、写真を見る人、フォトフレームを作る人、走り回って遊ぶ子ども… いろんなイベントがあちこちで繰り広げられ、手づくり感満載のコミュニティ空間が実現されました。
この米崎地区では、震災後の初夏以来、継続的に「道のカフェ」でご一緒させていただいています。米崎でのプロジェクトは、今回で実に8回目となります。1プロジェクトは約3ヶ月をかけてじっくりと行い、そのプロセスを通じて人と人がつながっていきます。回を重ねるごとに、小さくも着実にコミュニティの輪が広がってきました。
震災直後、公益財団法人松下政経塾で企画した被災地訪問プログラムに有志の企業人が参加し、当時、避難所となっていたこの米崎小学校を訪ねました。その際、今、米崎小学校仮設住宅の自治会長を務める佐藤一男さんから聞いた一言:「そろそろ落ち着いてコーヒーでも飲みたい」。この訪問に参加していたスターバックス、キヤノン、松下政経塾で連携体制をつくり、復興支援プロジェクト「道のカフェ」が生まれた背景があります。
ご縁がまた新たなご縁を生み、「道」が続いていきます。私たち「道のカフェ」は、自分たちにできることから、地域の皆様と一緒に、復興への道を歩んでいきたいと思います。
米崎小学校仮設住宅のお母様方とプロジェクトスタッフ一同 Photo: © Kei Sato |