© Atsushi Shibuya |
震災直後の2011年5月、被災地の復興支援において企業がいかに貢献できるかを探る機会として、公益財団法人松下政経塾が企業向けの被災地スタディーツアーを企画しました。そこに参集したのが、スターバックス、キヤノンをはじめとする様々な企業からの有志でした。一行で被災地を巡る中、陸前高田市の避難所で、ある一言を耳にしました。「そろそろ落ち着いてコーヒーが飲みたいです」
この言葉をきっかけとして、スタディーツアー後の6月、東京で話し合いの場がもたれました。被災地の実情を目にしたスターバックスの巌真一宏氏、松下政経塾卒塾生でビジネスプロデューサーの谷中修吾氏、松下政経塾で社会活動を企画運営する榎本絵美氏が集まり、力を合わせることで何かできないかとアイデアを出し合いました。
そこで生まれたのが、「カフェづくりを通じてコミュニティ再生を支援する」というコンセプトでした。ホッと一息つけるようなオープンスペースを地域のみなさんと一緒につくりたい… 即座に企画書を作り上げ、復興への道を切り拓くという想いを込めて、復興支援プロジェクト「道のカフェ」と名付けました。
さらに、この取り組みを通じて把握する被災地の現状をしっかり全国に伝えていくという視点から、コミュニケーション手段としての写真に着目しました。被災地を共に巡ったキヤノンの中山勉氏のイニシアティブでインクジェット事業部の参画が決まり、ここに、スターバックス、キヤノン、松下政経塾の連携体制が生まれました。
そこから僅か1ヶ月、7月下旬には陸前高田に「道のカフェ」が誕生しました。スターバックスがコミュニティカフェ空間をつくり、キヤノンが写真を通じた情報発信を支援し、松下政経塾がソーシャルプロジェクトの設計・運営ノウハウを提供するという連携により、復興支援プロジェクト「道のカフェ」のストーリーが始まったのです。